第15章 直感。
下を見ると川が流れているようだが
見るとお尻がきゅっとなるほどの高さだ。
ここから落ちたら正直川があろうがなかろうが
助かる保証なんてまったくわからなかった。
少し涙目になりながら政宗を見る。
脇腹に手をあてながら
苦しそうに小次郎をにらんでいる。
私たちが出てきた茂みの反対側から
馬がかける音が近づいてきた。
「遅ぇよ。」
その音を聞いて政宗が小さくそうつぶやいたように
聞こえた。
と、その瞬間
蒼い瞳が私をまっすぐとらえた。
トクン。。。
大きく私の胸がなる。
今まで刀を突きつけられたり、
その瞳の先には私じゃない別の人だったり。
その瞳に私が映ることなんてなかったのに。
こんな状況なのにそれがこの上なく嬉しいと思ってしまう。
「信じろ、ひな。」
そういうとそのまま政宗は私にむかって飛び出した。
直感ーーーー。
あれだけざわざわしてた胸騒ぎが
嘘のように静かになる。
「なっ!てめぇ!!」
小次郎が驚いて少し腕のもつ手の力をゆるめた瞬間
私も身体が勝手に小次郎の手をふりほどいた。
同時に支えのなくなった身体は
そのまま地面のない所へたおれこもうとする。
「しっかり捕まれ。」
「うん。」
政宗が私を抱き抱え
そのまま一緒に崖の下へ落ちていった。