第15章 直感。
「政宗ーーーっ!!!」
目の前で
私の愛おしい人が倒れこんでるのに
叫ぶことしかできない自分がくやしい。
涙があふれてくる。
銃声が聞こえた茂みから
銃を持った佐吉が、でてきた。
「ちっ。。。一瞬で避けたか。。」
小次郎が小さくつぶやく。
「え。。。?」
「おまえ。。。」
政宗がゆっくり脇腹を押さえながら
立ち上がる。
「政宗!!!」
一瞬の安堵。
そしてそれをかき消すように
前髪を捕まれ、
小次郎の方に顔を向けさせられる。
「声出すんじゃねぇ、」
どすの聞いた声でいう。
「やめろ。、。」
小次郎を睨み付けながら
政宗が静かにいう。
「だから命令すんじゃねぇ。
もう兄弟でもなんでも、ないんだろ?」
「そういう所がお前を勘当した理由だ。」
「は、お高くとまりやがって。」
「きょっ。、。兄弟??」
また髪の毛をひっぱられそうになると、思いつつ
思わず声を出す。
「あぁ、元々な。だがこいつは俺を追い出した。
おかげで俺は日の当たらない場所にずっと、いるんだ。」
だからか。、。
なんとなくどこかで見たあの目は
政宗の兄弟だったから。、。。
でも兄弟でいがみ合うなんて。。。
政宗、お母さんとも。。。
思い出すと胸が痛くなってくる。
いったい政宗はどれだけの運命を背負ってるんだろう。。。
「そのくせお前はまもなく祝言まであげる始末だ。
一つくらい幸せを奪っても
バチはあたらねぇだろ?」
にやにやと笑いながら私を見る。
政宗が押さえた左腹から赤いシミが出てくる。
「政宗。お腹っ、、!」
涙が出てくる。
これじゃあ私が迷惑かけてるだけだし。
なんのために身代わりになったかわからない。
「だから黙れ。そんなに死にてぇなら殺してやる。
この崖からな。」
「っ!!」
無理矢理立ち上がらせたかと思うと
ぐいっとひっぱられ、
崖の縁に立たせられた。
今小次郎に腕を離されたら確実に落ちる。