第15章 直感。
「ーーーーんっ!!」
喰らうように男に口づけをする。
「ーーーなっ!」
逃げようとする男を追いかけてついばむ。
「ーーーっハァハァハァ、なんの真似だ。」
あまりの突然のことに
動揺を隠せないようだった。
「なんの真似って、あんたが
政宗の女ってこと証明しろっていうから。」
「これのどこが。。」
「政宗は、生きてるって実感したいとき、
鉄砲の匂いが霞めたとき、
こういう口づけをするの。」
思い出しながら
ひとつひとつ言葉にする。
「喰われるような。
確かめるの、ちゃんと私が生きてるか。」
「ーーっ!」
「それからーー」
思い出す、
あなたに愛されたあの頃を。
幸せに満たされていたあの時を。
「俺なしじゃいられないくらい溺れさせてやるって
いわれて。。。」
男に近づく。
男も冷静さを取り戻したのか急に笑うと
私をおもいっきり引き寄せた
「ーーふっ。面白い女だ。
政宗がそこまで溺れるとはーー」
プチっと後ろでの縄を小刀で切られ
両手が解放される。
ただそれと同時に両手を男に片手で拘束されながら
押し倒された。
「きにいった。このままーー。」
時間稼ぎにもならない時間稼ぎ。
もう逃げられない。
まっすぐ見つめられた淡い青の目。
やっぱりどこか誰かの面影がちらつく。
すでに乱れていた着物をこじあけられ
獣のようにむさぼられる。
嫌悪感が全身をめぐる。
「ーーーっ!」
現実を見たくないがために強く目を閉じる。
一瞬、家康の顔が浮かんで
心臓が押し潰されそうになった。
信長様の暖かいぬくもりを思い出して
泣きそうになる。
だがそれ以上の気持ち悪さが
私に覆い被さってくる。