第15章 直感。
逃げようとするはるを
大柄の男ががしっとつかむ。
同時に逃げようとした私は
小柄の男に押さえつけられた。
小さいくせにびくとも動かない。
ていうかあの大柄のあいつ、
伐られたはずなのに?!
「今切られたはずなのに?と思ったか??
クックックッ。こいつはあんなものじゃ死なんよ。
じゃないと俺の連れなぞできねぇ。」
右腕が、月明かりに照らされ
ざっくりと切られているのがわかる。
快楽主義者にはこんな傷なんてどうでもいいんだろうか。
「さぁ、この威勢のいい嬢ちゃんを
いただくとしようか。」
「や、やめて、やめてっ!!」
「まずは煩い口を塞ぐか。」
「やだ、やだっ、離して!いやだ!!!」
泣きわめくはるの声が
部屋に響き渡る。
悲鳴がこだまし私の胸にまで刺さるようだ。
「助けて!助けてー!!」
政宗の大事な人が
今目の前で奪われようとしている。
「離して!!離して!!」
はるの悲痛な叫び声が
私を貫くようだ。
「助けて、やだよ、やだ!」
私はどうしたらーー。
「ひなさん!やだー!」
こんな状況、そしてそのあとの事を想像して
政宗の悲しそうなそして怒りに満ちた顔が
目に浮かんだ。
「ーーんっ!!やっ!やめて!」
私はーーー。
政宗の悲しむ顔は見たくないーーー、
「離してぇ!!!!」
「もう黙れ!」
ゴッ。
上から押さえつけられてよく見えないが
恐らく殴られておとなしくさせられたようだ。
どうしようーー。
このままだとーーーー。
『後悔しないように生きる。』
政宗がよく言った言葉。
私は後悔しないようにーーーー。
あなたみたいに戦えないけど、、
「ごめんなさい、私はこれしかできない。。。」
小さく呟いた。
「あ?なんかいったか??」
馬乗りになっている小柄の男が私に顔を近づける。
「私が政宗の女だったらどうするの。」
あなたの大事な人は
私がまもってあげる。
これくらいしかできないけれど。