第15章 直感。
露店商の男が急に立ち上がり
はるの首に簪をつきつける。
「叫ぶな。動くな。」
後方からどすの聞いた声が聞こえた。
日が傾きかけた夕方。
大きな影が私を覆う。
恐らく大柄な人間だ。
はると私は確実に大通りからは
見えないだろう。
大きな瞳に涙を浮かべながらはるが
助けを乞うように私を見つめる。
「はるはほんとに捕まる天才だね。。」
思わず声が漏れる。
「静かに前に進め。」
声の通りにしないと確実に殺されるーーー。
21世紀の平和な世の中にいて
ぬくぬくと育ってきた私でさえわかる殺気。
私が何か少しでも変わったことをしようものなら
こいつらは確実に私とはるの喉を
なんの躊躇もなく引っ裂くだろう。
大人しく後ろの男の言う通りに動く。
「ーーっ!痛っ」
持っていた金平糖と七味を取られ
両手を後ろ手に拘束される。
「そこの路地を曲がれ。」
言う通りに曲がると
籠が用意されている。
先を歩いていたはるが急に崩れ落ちるように倒れた。
「はる、ーーっ」
名前を呼ぶか呼ばないかと同時に、
首に鈍痛が走り
私は意識が遠退いた。
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