第2章 2.消えてしまった時間
「大丈夫ですか・・・?」
はると呼ばれている女の子の大きい瞳が
私を捉える。
「あっ、うん。大丈夫です。ごめんなさい。
ちょっとぼーっとしちゃって・・・」
「私はるっていいます。」
くりくりした大きい目でふにゃっと笑った。
「あっ、、、えっと。。。私はひなです。」
「ひなさん!!!本当に今回はありがとうございます。」
ぐいっと私の手を両手で掴んで
自分の胸元にあてる。
「えっ・・・?あぁ、、ど・・どうも・・・」
突然の事でまた言葉に詰まっていると
家康が口を開く。
「・・・・。はる。驚いてるから。
そんな急に食い気味でいったらだめでしょ。」
「あっ、ごめんなさい・・・・」
家康にたしなめられ、はるはおずおずと
私の手を離した。
「あっいえ、全然。大丈夫です。
お互い無事でよかったですね」
なんとなく気持ちここにあらずといった返事をしてしまう。
「ほんとに!!!ひなさんがいてくれなかったら
私ほんとに・・・・」
さっきまで笑っていたかと思うと
今度は伏し目がちに下を向いた。
あぁ表情がくるくる変わる女の子だなぁ。。。
はるをみながら思う。
「・・・はる。」
家康が心配そうにはるの肩に手をかける。
「。・・。でも大丈夫!!!
あっそして、そうなの!目が覚めて
動けるようになったら来いって、信長様が」
顔を一気に輝かさせて私を見る。
「・・・。こきつかうなぁ。。信長様は…」
家康がため息をつきながら立ち上がる。
「とりあえず,身体は大丈夫そうだから。
信長様に怒られない程度に休めてから行ったら」
最後は私に目を合わさず
襖をあけて出て行ってしまった。
「あっ、家康も悪い人じゃないから、
ちょっと人見知りというか・・・なんというか・・」
はるが慌てて答える。
・・・・・うん、知ってるよ-------。
家康に締められた襖を
ただただ見つめていた。