第14章 動揺。
「おちついたか?ひな」
いつもの威厳のある声より
少し穏やかな声が耳に届く。
背中の体温をなんとなく離したくなくて
掴んでいた腕の裾を
ぎゅっと掴む。
「………はい。」
「妙。」
「はい!」
「一応ひなを家康に見せる。
万が一ということもあるしな。
構わぬか。」
「もっ、もちろんです!ひなさん、大丈夫?!」
「……はっはい。ごめんなさ…い。」
まだ少し声が出しづらいものの
しっかりと音が出てほっとする。
「謝らないで!やっぱりぼーっとしてたもの。
体調が悪かったのよ。」
「……、ひなと何か話していたのか?」
「あっ、いえ、はるさんの祝言楽しみねというくらいの
雑談で。。、」
「……そうか。わかった。
今日のことは騒ぎ立てるな。
過呼吸は体調不良や過労でもなるらしいと
聞いたことがある。
ひなも本調子でなかったんだろう。」
「そっそうですね!しっかり休んでね!ひなさん!」
なにかを思い出して顔を赤らめながら
お妙さんが私に向かって言う。
「ではあとは頼んだぞ、妙。」
「はい、かしこまりました。」
ふわっと身体が宙に浮き、
部屋を後にした。
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