第14章 動揺。
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「ちょっと!ひなさん!
縫いすぎよ!」
「あっ!!」
手元には袖口まで塗ってしまった着物があった。
「すみません、ちょっと考えごとを、。。」
「はるさん達のお祝いの品でも考えてたのかしら??
まぁほんとにめでたい話だからね。
精いっぱいお祝いしなきゃ!」
「……、そっそうですね。」
ぎこちない笑顔を作りながら
手元に目線を戻した。
胸元には家康からもらったお守りがある。
集中しないと。。、
でも、、、
このお守りだって、また。。。
下を向くと涙がこぼれ落ちそうになる。
ごめん、私どうしたらいいかわかんないーー。
こんな悲劇のヒロインしてたって
なんにもならないのにーーー。
ドクンーー。
急に不安が襲った。
フーッフーーッ。
ハッハッハッっーーー。
呼吸が荒くなる。
どっーーどうしよう。。
「たっーー。。。」
助けての声がでない。
ガタン!!
そのまま下に崩れ落ちた。
「ちょっ!!ひなさん!!どうしたの?!」
視界が霞む中、
お妙さんの足が近づいてきたように見えた。
「………かっ。、。」
声を出そうにもでない。
助けてーーーーーーーー。
「ひな?!」
低い威厳のある声が響く。
その瞬間ふわっと身体が起こされ
たくましい腕に包まれる。
「ーーーっ!過呼吸だ。袋はないか?」
「ふっ袋?!」
お妙さんがうろたえながら右往左往している。
苦しいーーー。。。
抱えてもらっているだろう裾をぎゅっと握りしめた。
「………もうよい。
ひな許せ。」
その声が聞こえた途端、
唇に柔らかい感触が触れた。
「んまっ!!」
お妙さんの声が聞こえた気がした。
フーッ、、フーッ。、、
自分自身の二酸化炭素なのか
なんなのか、少しずつ呼吸が落ち着いてきた。
唇を離し、またバリトンの低い優しい声が
耳に響く。
「そうだ、俺に合わせて呼吸しろ、
フーッ、フーッ」
大きな片腕で背中をささえ、
ぎゅっと左手を握ってくれている。
スーっスーっ
背中とそして唇から感じる体温に
少し安心感を感じ、
少しずつ呼吸も落ち着いてきた。