第14章 動揺。
もう黄色の花は散って
青々とした緑の葉っぱが一面をおおっていた。
草をかけぬける風が心地よい。
大の字で寝ころぶ。
草の青臭い臭いが鼻をかすめる。
たかが自分の好きな人が
その人の愛する人と結婚するだけ。
こんなの、現代にもざらにあるんだから。
一生懸命言い聞かせる。
『なにしてんの。』
『!!!』
ぬぉっと視界に整った顔立ちが覆い被さる。
『いっ家康!!!』
慌てて起き上がる。
『家康こそどうしたの。こんな所まで。』
『ひなに用があった。』
『私に?あれ?今日って薬教えてくれる日だったけ??
ごめん、うっかり。、。』
『違う。』
『じゃあ。。。』
言う前に家康がしゃがんで膝をつく。
目線が私の目線と同じ高さになった。
『あっ!体調心配で来てくれた??
お妙さんに聞いた?大丈夫だよ、ちょっと今日は
ずる休みだったりして。』
ぺろっと舌を出して笑ってみる。
『はぁ。。。』
『え?』
急にため息をつかれると
なんか自分が悪いことした気がする。
『そんなため息つきにくるならやめてほしいけど。
あっ、ごめん。。そーゆーこと言いたいんじゃなくて。。。』
家康がそんなことあるはずないのに
イライラしてつい言ってしまって
慌てて訂正する。
『つきにきたよ。わざわざ。』
『なにそれ。』
『なんでそこまで抱え込むのっていいに来た。』
『え。』
『でもひなは何回言っても自分だけで抱え込むから
もうこっちから行くことにした。』
『な!なにそれ。私のことはもうほっといてよ。。。』
反論しようとすると
家康の手が頭に伸びてきて
気づけば家康の胸のなかに抱かれていた。
『いっいえや。。。』
『気づいてる?ひなの顔。
必死に笑ってるだろうけどバレバレ。』
『なっなにそれ、私別に泣きそうにもなってないし
無理に笑ってないし。』
『じゃあ余計に重症だね。』
そういって頭を優しく撫でられる。
『ーーーっ!』
『それにひなが笑ってないと俺が嫌だ。
あんたは笑っててほしい。だから俺の為にきた。
でも、笑う前にちょっと休まないと、
ひな自身が壊れるしね。』
急に頬にあったかいものが流れた。