第14章 動揺。
『指輪ですか?』
みんなが怪訝そうに見る。
『はい!永遠の愛を誓う時に私の故郷では指輪を
送るんです。ね?ひなさん?』
くるっと大きな目が私に向いた。
『えっ、あっうん。』
『なんでこれ知ってるのか聞いたらひなさんが
教えてくれたって。
もう嬉しくって!!』
あの時ーーー。
花見の時だ。
心の底から言わなければよかったと
後悔してしまう。
その指輪を、本当は私がもらったかもしれないのにーー。
またどろどろした感情が溢れてくる。
『ひなさん!ありがとうございます!!』
私の手をとってキラキラした目を
私に向けてくる。
『よかったね。』
なんの感情も、もたない
薄っぺらい言葉でしか返事をできなかった。
そのあともずっとなれ初めだの
告白のシチュエーションだの
話題が、事欠くことはなかった。
午前中で体調が悪いと仕事を切り上げ職場を出る。
お妙さんはやっぱりまだ病み上がりだから
ぶり返しちゃったのかな、大丈夫かなと
すごく心配してくれた。
ごめんなさい。
そんな病み上がりとかまったく関係ないんです。
『最悪………』
私に一番に報告しにきてくれたのに。
あんな素っ気ない返事しかできなくて。
いずれは来るってわかってた。
わかってたけど、
いざまた、目の前で私がしてほしかったことを
見せつけられると直視できない。
でもこんなのただのたちの悪いだだっ子だ。
政宗が見ているのははるだから。
不思議と涙はでなかった。
『もう疲れたなぁ。。。』
なんとなく、部屋で寝るきにもなれなくて、
足が自然とこの前家康につれていってもらった
花畑にむかう。