第13章 平穏。
「そんな大きなため息ついて何考えてんの。
みんなもう行くよ。」
「え?!あっ!」
見渡すとそれぞれが広間から出ていくところだった。
「ごめん、ついボーッと考え事しちゃって。」
「どうせ褒美何しよう。。。ってとこから、
なんか余計なことまで考えてたんでしょ。」
「え。。。」
「ほら、来て。まだ針子の仕事まで時間あるよね。」
「うっ、うん。」
「ついてきて。」
家康に連れられて広間を出る。
一瞬政宗をみると
はるを連れて廊下を曲がるところだった。
ふとはるをみていた顔が
こっちを向き目があった気がして
目をそらした。
みなきゃよかった。
もう私の心の中は
黒いドロドロしたものが溢れんばかりにわき出てる気がして
胸をトントン叩いた。
頭が下を向く。
家康は私の少し先を歩き続けた。
家康の足元だけをみてひたすらついていく。
城を出て裏の山手の方に進む。
どこいくんだろうと思ってると急に家康の足が止まり
左手をぐいっととられた。
「!!」
「そのまま下向いてついてきて。」
手をつなぎながら
道を進む。
繋がれた手から家康のあったかい温度が
伝わってきて
さっきのドロドロとは別の
なんかよくわかんかいものが広がってくような
気がする。
と、また急に止まって
左手を離される。
急に風が手の間を通り抜けて
余計に冷たく感じた。
「はい、もういいよ。顔あげて」
家康に言われて顔をあげる。
「ーーーっ!」