第13章 平穏。
「きれい。。。」
山道を抜けたそこは
視界が開け、
黄色の花が一面咲き乱れていた。
「この時間が一番綺麗だから。」
家康が優しく笑っていう。
「お城の近くにこんな場所があるなんて
知らなかった。。。」
「ちゃんと前向いてないと気づかないでしょ?」
意地悪そうに家康が笑う。
「うん。。。ほんとに。。。」
いつまで見ていても飽きないくらいの光景だった。
手入れされてるわけでもなく
ただ野山に咲く花なんだろうけど、
力強く可憐に咲き乱れるその様に
目を奪われずにはいられなかった。
「周りを少し見ればこんなところがあるから。
ひなもたまには周り見て息抜きしなよね。
まぁ真っ直ぐ一直線なのもあんたの良い所だけど」
「ありがとう。」
「別に……」
家康を見て改めていうと
少し照れたように目を外された。
「ほんとのほんとにありがとう。」
それでも私は家康に
精一杯の感謝を伝えた。
この景色のように綺麗な穏やかな日常が
続けばいいのに
そう願わずにはいられなかった。