第13章 平穏。
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『ひなを奥州に連れて帰る。』
顕如の反乱を止め、
領地拡大の勝利を納めた政宗に
信長様が褒美をやると言ったとき、
政宗がいった言葉だ。
『なっ!なんでこの場でいうの!
私もう信長様に言ったよ?!』
『女のお前だけに言わすのも癪だ。
やっぱり俺は自分でお前を連れ帰ると言いたい。
みんなの前で俺の女だと言いたかったしな。』
戦に関わった大名や家臣も大勢いる中で
言われた一言。
みんなが私に注目して思わず顔が真っ赤になったことを
いまでも覚えている。
『まぁダメだと言われてもさらって帰るけどな』
にやっと笑い私の頭をぐっと政宗に寄せられる。
大きな力強い手と頼りかいのある引き締まった胸板に
包まれて、
恥ずかしいやら嬉しいやらで
いっぱいいっぱいだった。
『ほぅ、だがひなは俺の前で貴様と行くと宣言したあと
泣いておったぞ。』
意地悪そうに信長様が笑って言う。
『や!あれは違うじゃないですか!!』
真っ赤ななったまま否定すると上から
また大好きな声がふってきた。
『へぇ、俺と行く事がいやなのか??』
『違うよ!!政宗と行きたいって決めたもん!
政宗と生きるって決めたから。。。。』
大きな声で言ったあとはたと気づく。
何わたし公衆の面前でこんなこと。。。
さらに、顔が赤くなる。
『いいねぇ、みんなの前で告白されるのも悪くない。』
政宗は余裕の笑みでわたしを見下ろす。
『~~~////っ!!』
『あんた達のそのくだらないやりとりいつまで
見せられればいいわけ?』
家康が呆れたように言う。
『なんだ、家康。妬いてるのか?だがひなは
やらねぇよ。』
『……はぁ。好きにしてください。』
『もぅ!政宗!!』
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「はぁ。。。」
あの時を思い出して盛大なため息をつく。
気づけばまた首飾りを触っていた。