第2章 2.消えてしまった時間
「んっーーーー。」
重たい瞼を無理矢理あける。
「あっ!!起きた!?待ってて!!!」
タッタッタッ
部屋から出ていく足音が聞こえる。
ゆっくりと体を起こすと
そこがどこだかすぐにわかった。
安土城。
半年間私はここで過ごした。
はじめは不安で隠れて泣いてばかりだったけど
政宗やみんなのおかげで
大好きな場所になっていった。
ここはおそらく、客人を宿泊させる部屋だ。
懐かしさに少しだけ心があったかくなる。
「入るよ。」
襖の向こうからスッと通る声が聞こえた。
もちろん誰かすぐわかる。
襖が開きそこには
『…家康……………』
声にならない、ほとんど聞こえない声でつぶやいた。
「ん。。???なんか言った?
ちょっと顔かして…………」
「…………!!」
すっと伸びてきたきれいな手がほほに当てられ
緋色の澄んだ瞳が私をとらえる。
「…うん、大丈夫そうだね。
まぁあれだけ寝たらよくなるだろうけど。。」
「あっ、ありがとう。」
お礼を言うとすぐに手を離され
目を逸らされた。
あぁこの感じも懐かしいなぁ。。。。
タッタッタッ。。。
「あっ、家康!!先に行ってたんだ!!!
よかった!!!呼びにいったんだけどいなくて。」
あのときのはると呼ばれた女の子が
顔を出した。
ズキン。。。。
思い出したくないのにあのときの感情がまた込み上げる。
「……………はるの足音でわかった。うるさすぎ。」
「なっ!ひどい!!!」
少し頬をふくらし、はると呼ばれた女の子が
家康に抗議する。
……………。
どこか遠い所で行われているような
和やかな会話
「でも、大丈夫でよかったー、あれから2日間
目を覚まさなかったから。」
突如二人の目線がまた私に戻る。