第11章 策略。
さすがの近距離で投げたからか
男の左腕を少し傷つけ床に落ちた。
とにかく逃げないと!
廊下に出ると
予想以上に火の手が回っている。
「こっちです!!」
唯さんが私たちを先導する。
廊下は煙が立ち込め前が見えにくい。
「こんな短時間でこんなにまわるの?!」
「…すみません。。。これは。。。」
唯さんが言おうとした瞬間後ろの天井が
ガタガタと崩れだした。
危ない!!
後ろでひっぱられた状態で私についてきているはるを
ぐいっと引っ張り前にする。
その瞬間
ガタッ!!
天井の梁が私とはるの間を裂くように
なだれ落ちてきた。
「「ひなさん!!」」
はると唯さんが同時に叫ぶ。
燃えたぎる梁が三人の間に横たわる。
「ーーーっ。」
「どうしよう、ごめんなさい、私が引っ張ってもらってて
遅かったから。」
泣きながらはるがいう。
「なんとかこの梁をどけないと!!」
「はるさん!危ないから!!」
燃える梁を素手で触ろうとするはるを
止める。
「どうしよう、どうしよう、ほんとにごめんなさい。。」
泣きながらしゃがこんでしまうはる。
どうしたらいいかわからず呆然とする唯さん。
その間にもどんどん煙が充満し
火の手が迫ってくる。
あの男もいつここに追い付けるかわからない。
このままじゃ三人ともーーーー。
意を決し叫ぶ。
「はる!!泣かないで!
このままいけば外に出られるでしょ?
早くいって!」
「だめだよ。。。ひなさんも一緒じゃなきゃ。。、」
動かないはる
「無理だよぉ。。。」
どうしたらーーー。
この子が死んだら政宗はきっとーーーー。
「はる!あんた、政宗の恋人なんでしょ?!
いったいいくつの修羅場くぐってきてんの!
大事な人が死ぬ悲しみを政宗に味あわせたいの?!
お願い、政宗にそんな思いさせないで!!
政宗の為に生きて!!」
あなたは政宗っていう生きる理由があるからーーー。
ずっと待っててくれる人がいるからーー。
はるの目が大きく開かれる。