第11章 策略。
客間に入り
お茶をいただく。
でも唯さんからして
私ってどう映ってるんだろう。
自分の愛した人の側室になるかもしれない人に。
そんなことを思いながら他愛ない話をする。
「あっ!」
はるがお茶菓子を食べようとして
お茶に着物の袖があたり
湯飲みを倒してしまった。
畳の上に盛大にお茶がこぼれる。
「ごっごめんなさい!どうしよう!」
「あー、はるさん、思いっきりこぼしたね。」
そういいながら自分のもっていた手拭いでふこうと
はるの手元に体を寄せる。
唯さんも同じように考えたのか
手に持った手拭いで拭こうとする。
ふと、唯さんを見る。
刹那、唯さんと目があったかと思うと
口許が少しだけ動く。
「??」
なんだろうと思って手を動かしながら
もう一度見ると
『た す け て』
そう動いてるように見えた。
「!!」
すばやくはるを見ると、倒してしまったことの
申し訳なさで畳のシミを必死でこすっていた。
はるは気づいてない。。。
何を助けてなんだろう。。
しかも愛する人の側室になるかもしれない
なんだったら嫌な存在の私に助けて?
側室にならないでくれってこと??
もんもんと考えていると
畳のお茶は、きれいに拭き取れた。
三人ともまた元の位置に戻る。
あれを確かめる術はない。
気のせいだったのだろうかと思いたくなる。
でもあの時の唯さんの目は本気だった。
何かを訴えていた。
何をーーーーー。
ガチャーーーン!!
屋敷の奥から何かが割れる音がした。
「なんのー。。。。」
音のする方を見て、
振り替えるとそこには
意味のわからない光景が目に飛び込んできた。