第11章 策略。
そんな子供みたいに笑う蒲生さんを
いとおしい目で嬉しそうにみつめる唯さんの顔は
いまでもはっきり思い出せる。
それから何度か蒲生さんの御殿に
お邪魔したけど
毎回政宗を連れてすぐに炊事場にいってしまって
出された料理も
懐石料理みたいに一品ずつ本人が持ってきては
すぐにひっこみというのを繰り返してたので
ほとんどが唯さんと過ごした。
だからだろう、蒲生さんの顔を
そんなに覚えていなかったのは。
でも、そんな蒲生さんと唯さんが
信長様を裏切るようなことするのだろうか。。。
なんだか腑に落ちない。
政宗はどんな風に考えてるのだろう。
チラリの政宗をみると
まっすぐ御殿を見つめ
なにか考え事をしている顔だった。
「行くぞ。」
信長様の声で振り返り
御殿に入る。
何事もなく終わりますようにーーー。
そう願いながら。