第11章 策略。
『どうぞ。』
『ありがとうございます。』
いただいたお茶を一口すする。
『あの人、私が政宗と幼馴染みだって言ったらすぐに
紹介してくれって。
料理が得意なことをどこで聞き付けたかしらないんだけど。
はまるととことんまでやる方なの。
で、1週間に1回はこうして教えてもらってるの。
毎回楽しみにしててね。
でも私も主人がいろんな料理を作ってくれて食べるのが
楽しみで。』
蒲生さんの話をする唯さんは
本当に幸せそうで。
一生懸命話す姿がもうかわいくてぎゅーっとしたくなる
ほどだった。
『そうだったんですね。でもほんと政宗の料理は
美味しいですもんね。』
『そうなんですよ!!!
で、主人があまりに凝り性なので、
この前は食料を寝かす倉庫を御殿に作ってしまいました。』
『えー、そんなことまで?!』
『そうなんです。低温でゆっくり寝かすと
美味しいとかなんとかで。。。
今もなにか、寝かしてるんじゃないかしら。
見に行きますか??』
目をキラキラさせて私に向かっていう唯さんを
断れるはずもなく、
お茶もそこそこに倉庫に向かった。
といいつつ連れてこられたのはなんの変哲もない壁だった。
『ここですか。。??』
おずおずと聞くと唯さんはふふふと笑って壁を押した。
『!!!』
ぎぎぎっと音をたてて壁が動き
部屋が現れる。
『なんですか?!これ!忍者屋敷みたい!』
『そうでしょう?実は主人忍者屋敷に憧れてまして。。
どうせ作るならこういうのがいいと。。、』
『すごいですね。。。』
だいぶ奥が深いらしく先は真っ暗だ。
『この先がですね。。。』
言い終わる前にその暗闇の先に光がさした。
『あっ』
その光の先に政宗と蒲生さんがいた。
『なんだ、唯、教えてしまったのか。
せっかく後で教えようかと思ったのに。』
拗ねたように蒲生さんがいう。
『あらあら、それは失礼しました。』
微笑みながら唯さんが答える。
『ここは炊事場と繋がってるんです。
この繋がりも主人のこだわりみたいです。』
『確かに便利だな。ここからだと客間にも
料理をあったかいうちに持っていきやすい』
政宗が感心していう。
『そうだろ?!いやー政宗殿に
誉められるのはやはり気持ちのいいものだな』
蒲生さんが嬉しそうにいった。