第1章
彼女がいるのはリヴァイの寝室である。
執務室とはまた別の、完全なる自室であるが、今までリヴァイはこの寝室には文字通り寝る時にしか帰ってこなかった。
だがが来てからというもの、寝室で過ごす時間が格段に増えた。執務室から持ち出せる仕事であれば、寝室に持ち帰って処理をした。
書類にペンを走らせる合間にもリヴァイはこまめにの膝の上の本をめくってやり、紅茶を淹れ、身なりを整えてやった。自分にこれほど甲斐甲斐しい部分があったのかと驚くほどに。
部屋に帰れば、窓際で穏やかに読書をする彼女の姿がある。その美しい横顔に、いつも心が癒された。彼女の世話をすることに、喜びすら感じるようになっていた。
自分の事をおかしいとは思ったが、リヴァイは気づいてしまった。そして認めざるを得なかった。
彼女に恋をしてしまったことを。
彼女が来てからしばらく経ったある夜のこと、リヴァイは不思議な夢を見た。
リヴァイは寝室の入口に立っていて、その扉を開けると、いつものようにが窓際で読書をしている。
柔らかい日差しが窓から差込み、彼女を優しく包み込んでいた。その光景は美しく、リヴァイは思わず目を細めてしばし見入ってしまう。だが、ここで思いもよらないことが起こった。
肩にかけられた黒髪がサラリと流れて、の小さな顔が、流れるような仕草でこちらを向いたのだ。