第1章
リヴァイは、が生まれて初めて好きになった人間だった。
(だけど・・・私は・・・・)
リヴァイと一緒にいたいというのは、自分のわがままである。ただ静かに飾られて微笑んでいることしかできない自分のことを、この先もずっとリヴァイに背負わせようというのか。
(・・・・・そんなこと、出来るわけない)
ポロリとまた一つ、の瞳から涙がこぼれ落ちた。
どうするのが一番良いかなど、答えはとっくに出ていたのだ。初めから分かりきっていたことではないか。
は涙を拭うと、にっこりと微笑んだ。微笑むことだけは、どんな時だって完璧にできる。
(それしか、自分にできることはないのだから)
「リヴァイさん、困らせるような事を言ってごめんなさい。私、帰ります」
「・・・っ」
の言葉に、リヴァイが顔を上げる。その目は少し赤くなっていた。
「ここで過ごした日々は、私が今まで過ごしてきた中で一番幸せな時間でした。・・・この思い出があれば、私は生きていけます」
肩を掴んでいるリヴァイの手に、そっとの白い手が重なる。
「さようなら、リヴァイさん・・・私の愛しい人」
そう言って微笑んだ彼女の顔は、リヴァイが今までに見てきたどの表情よりも美しかった。