【ハイキュー】駒鳥が啼く頃、鐘は鳴る【木兎&赤葦】
第7章 冬の蝶
「あ・・・ッ・・・!!」
いつもより少しだけ乱暴な指使い。
押し入った先の柔らかな肉の壁を擦られ、浅ましく求めてしまいそうになる自分の身体を押さえるのに必死だった。
“どこにも行かないで・・・光太郎様と俺のそばにいてください・・・”
先ほどの赤葦の言葉が何度も脳裏に蘇る。
木兎家の家政婦長という立場だけでなく、京香は幼い頃から光太郎を知っているし、昔は弟のように可愛がっていた時期もあった。
日美子の血を濃く受け継いだ光太郎はただただ愛くるしく、活発で。
その光太郎を絶対的な憧れの対照として追いかける幼い赤葦もまた、ただただ愛おしかった。
「アアッ・・・わ・・私は・・・」
腰から下が溶けてなくなるような甘美な刺激に浮かされながらも、京香は言葉を振り絞った。
これは虚無と虚空に染められた快楽でしかないかもしれない。
それでも、彼は京香を求めるあまり、細い腰を抑えつけながら根本まで肉棒を深くねじ込んでいる。
「貴方の・・・ためならば・・・ッ・・・」
どんな苦しみにも耐えることができるのです。
貴方の代わりに地獄へ落ちることだって喜びなのよ。
だって・・・貴方は私の大切な───
だが、その言葉はこれまで味わったことがないほどの強い快楽で掻き消されてしまった。
身体が上下するほど揺さぶられ、ただ身悶えすることしかできず、その先の言葉も意識の遠くへ追いやられてしまう。
京香の目から流れた一筋の涙が、歓喜のものか罪悪感のものかは分からないが、その夜、二人は意識が飛ぶその瞬間まで悲しい愉悦に浸っていた。
本当に交わさなければならない言葉を、交わすこともなく───