【ハイキュー】駒鳥が啼く頃、鐘は鳴る【木兎&赤葦】
第7章 冬の蝶
「京治・・・可哀想な子・・・」
ああ、なんと愛おしく、なんと憐れな弟よ。
私はすでに男の手垢が付いている。
それでもこの身体を差し出すことで、貴方が救われるなら。
私はいくらでも貴方から与えられる恐怖に耐えましょう、痛みに耐えましょう。
「姉さん・・・目を閉じて・・・」
視界を塞ぐ布が眼球の上に巻かれていく。
同時に、身動きが取れないように両手を頭上で縛られた。
もう何度こうして彼に裸にされ、目隠しをされ、身体を縛られてきたことだろうか。
分かっている、これから襲ってくるのは恐怖と、それ以上の快楽だ。
「どこにも行かないで・・・光太郎様と俺のそばにいてください・・・」
赤葦は京香の耳元で懇願するように呟いた。
しかしその声もだんだんと遠くなっていく。
「京治・・・?」
光太郎がくれたガスストーブで部屋は温かいのに、恐怖のためか手足が冷たい。
ああ、白薔薇の香りが強すぎてクラクラとする。
「京治、京治・・・どこにいるの?」
この香りが漂う間は、まるで暗示にかかったように京香は抵抗ができなくなってしまうのだ。
目隠しをされているせいで、赤葦がいま何をしようとしているのか分からないのが、さらに恐怖を煽った。
衣服を脱いでいるのだろうか。
それとも情事後のことを考えて湯を沸かしているのだろうか。
コチコチと時計の音だけが静かな部屋に響き渡る。