【ハイキュー】駒鳥が啼く頃、鐘は鳴る【木兎&赤葦】
第7章 冬の蝶
たとえ牛島家に入ろうとも、貴光の血を引き、木兎の血を残そうとしている八重は、れっきとした木兎家の令嬢だ。
京香は八重と赤葦の間に何が起こったのかは知らない。
しかし、赤葦がとてつもなく酷いことをしたことだけは分かる。
それが必要悪だったとしても、そうでなかったとしても、誰かが八重に寄り添ってやらなければ。
「貴方は八重様を木兎家を救うための“駒”にしか見ていないかもしれない。でも、私は違います」
京治、貴方が誰よりも木兎家のために命を燃やしていることは分かっている。
だけどその炎は時に強すぎて、大切な木兎家の方々すらも傷つけてしまうかもしれない。
だから私が八重様をお守りするのよ。
「八重様こそが私の主です。赤葦家に生まれた女達は代々、木兎家の姫君、奥方に仕えてきました。明治の世でもそれは変わりません」
光太郎様・・・どうか私をお許しください。
“京香には絶対に・・・触らない。だからさ、お前は誰よりも俺の近くで・・・そばにいて欲しい”
でも光太郎様ならきっと許してくださることでしょう。
“京香がいれば安心だ、八重をよろしく頼む”と寂しそうに笑いながら・・・
「貴方は先ほど言いましたね、“赤葦家の長男として”と」
「・・・・・・・・・・・・」
「私はそれを聞いて安心しました。“赤葦家の長男として”、貴方は光太郎様に最期まで仕えてください」
赤葦家の長女として、私は八重様に仕えましょう。
そんな私の炎も強すぎて、木兎家の方々に牙を剥いてしまうかもしれない。
それでも、私達なりのやり方で光太郎様と八重様をお守りしていく、それが京治と私の定めでしょう。