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【ハイキュー】駒鳥が啼く頃、鐘は鳴る【木兎&赤葦】

第7章 冬の蝶




「光太郎様は八重様のことを本当に大事に思っていらっしゃいます。だからきっと、八重様から牛島家に嫁ぐご意思を聞かされて、心を痛めていることでしょう」
「京香さん・・・」
「どうかお許しくださいませ、私は八重様を責めているわけではないのです・・・ただ・・・」

牛島家と婚姻関係を結ぶことほど木兎家にとって心強いことはない。
だから赤葦も牛島夫人に八重を紹介したのだろう。
何より若利自身が八重のことを気に入っていることは、見舞いに来た様子からしても明らかだ。あの青年ならば八重をきっと大事にしてくれる。

「私も八重様のご決断を聞いてからずっと、旦那様に光臣様の血さえ流れていれば・・・と、思ってはいけないことを思ってしまうのです」

そうすれば光太郎は本当に大切に思う女性と結ばれることができただろう。
罪悪感を抱えながら八重を妻にする、という選択肢も取らずにすんでいた。

たとえ八重と本当に恋に落ちていたとしても、イトコ同士ならば何の問題もなく結婚ができる。


“姉さん・・・しかしながら、光太郎様がどのような決断をされても、木兎家の運命は必ずあの方に牙を剥くことになります”


冷たい瞳で弟がそう呟いたのはいつのことだったか・・・


“その時に犠牲となっていただくため、私達は八重様をお呼びしなければならないのです”


ああ、そうだ・・・八重を迎えるため、日美子の部屋を二人で掃除していた時に漏らしていたんだ。
その言葉の真の意味を知るのは京香だけだろう。

なぜなら、牙を剥く“運命”の正体こそ───


「京治をどうかお許しくださいませ、八重様」


京香は八重の手を取りながら、深々と頭を下げた。








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