【ハイキュー】駒鳥が啼く頃、鐘は鳴る【木兎&赤葦】
第7章 冬の蝶
「赤葦家の人間にとって、木兎家が未来永劫栄えていくことこそが幸せ・・・だから私は、旦那様と八重様が結ばれることを望んでいました」
でも今、その望みは潰えようとしている。
牛島家に八重が嫁げば、木兎家直系の血は絶たれてしまう。
「無論、八重様が望んで牛島若利様とご結婚なされるのなら、これ以上の喜びがありましょうか。しかし、同時に旦那様の御心を考えると、私は胸が張り裂けそうになるのです」
“───俺は八重と結婚するよ”
“そうすれば、赤葦も・・・闇路も・・・この家の者全員を守ることができるんだよな”
旧藩主家の当主というだけで、十八という若さながら何十人もの使用人と旧領地に暮らす人々の生活を守らなければならない光太郎。
持前の明るさのせいで忘れられがちだが、彼が背負っている重圧は相当のものだ。
“どんな形でもいい・・・赤葦とお前がそばにいてくれれば、俺はきっと幸せなんだと思う”
あの言葉を聞いた時、京香は赤葦家に生まれた幸せと悲しみを強く感じていた。
“京香には絶対に・・・触らない。だからさ、お前は誰よりも俺の近くで・・・そばにいて欲しい”
赤葦家の人間に生まれたおかげで、自分は光太郎のそばにいることが許される。
だけど、赤葦家の人間に生まれたおかがで、自分は光太郎に忠義以上の感情を持つことが許されない。