【ハイキュー】駒鳥が啼く頃、鐘は鳴る【木兎&赤葦】
第6章 冬霞
どうすれば狂った歯車を元に戻すことができる?
噛み合わないまま回り続ける歯車だ、再び狂わせれば正しく回り始めるのだろうか。
はたして“正しく”回る歯車が紡ぐ運命は、木兎家にとって幸せなものなのだろうか。
分からない・・・分からない・・・
───いっそのこと歯車そのものを壊してしまえばいいのだろうか。
「・・・八重様・・・貴方の血だけは純粋だ・・・」
全てが壊れたとしても、その血は再び道標となって木兎家に光をもたらすことだろう。
「赤・・・葦・・・!」
白い薔薇の花弁を一枚一枚剥ぎ取るたび、鋭い棘が赤葦の指先を血に染めていく。
もちろんそれは抽象的な幻影でしかないのだが、それが現実なのか夢うつつなのか、彼にも八重にも分かっていなかった。
歯車がギシギシと音を立てて廻る、廻る───
「───ッ・・・」
恐怖と痛みが限界に達したのか。
まるで糸が切れた操り人形のように突然、八重から全ての力が抜ける。
赤葦が果てるのを待たず、激痛と暗闇の中で意識を失っていた。