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【ハイキュー】駒鳥が啼く頃、鐘は鳴る【木兎&赤葦】

第6章 冬霞





“どうして・・・目隠しをするの・・・?”


京香を縛る時はいつも、心が潰されそうな想いになる。


“京治・・・京治、怖い・・・!”


分かっている。
心から慕っている姉に与えているのは恐怖と苦痛だけだ。
そして今、八重に与えているのは恐怖と苦痛、さらに裏切り。


“思い出していたんです。八重様の御姿を・・・”


鹿鳴館で社交界デビューをした八重はあの日、とても美しかった。


“───白い薔薇のようでした”


「ああ、赤葦、やめて、お願い! 痛いっ・・・ああ、ああ、光太郎さん───!」


白薔薇の花弁が一枚ずつ散っていく。
残酷なことにその花は眩暈がするほど甘く香り、柔らかい肌は若い男根を煽りに煽った。
突き動かされるまま落花狼藉に及ぶと、長襦袢に赤い血が飛び散る。


痛み、恐怖、熱、絶望、色々なものが泥のように入り混じり、八重は自分がいったいどのような感情でいるのか分からなくなっていた。

そして何よりも───


赤葦京治という男が分からなくなっていた。


牛島家に嫁ぐと言ったことがいけなかったのだろうか。
それとも木兎家に生まれたことがいけなかったのだろうか。


「恨むなら・・・御自分の運命をお恨みください」


そして、女を抱いているはずの赤葦の手はとても冷たく、その声もまるで熱が無かった。


快楽など微塵も無い。
暗闇の中で散っていく白薔薇、その周りに飛び散った鮮血。

十七歳の男女の身体が重なり合うその光景には、どこにも救いが無かった。











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