【ハイキュー】駒鳥が啼く頃、鐘は鳴る【木兎&赤葦】
第6章 冬霞
すっかりと形が崩れてしまった帯を解くと、白い着物が左右に花開くようにシーツの上に広がる。
素肌を覆う可憐な薄桃色の長襦袢にも手をかけ、脱がそうとしたところで八重が小さく悲鳴を上げた。
「───光太郎さん・・・!」
不在にしている当主を呼んだところで無意味であることは分かっている。
しかし、その名を口にするだけで気持ちを落ち着かせることができるような気がした。
“おいで、八重”
太陽のように笑い、温かい腕で抱きしめてくれる人。
「光太郎さん、光太郎さん・・・!」
だが無情にも太腿を掴まれ、脚を大きく広げさせられる。
襦袢の腰紐はとっくに解かれており、赤葦の前で肌を隠すものは何もなくなっていた。
ここまできたら、どのような初心でも察するだろう。
自分が今から凌辱されることに。
「嫌ッ・・・光太郎さんっ・・・!」
“八重のこの小さくて可愛い体には、お姫様の血が流れているんだよ”
亡き父の声が耳の奥で響く。
どうして今、思い出すの。
私の体に流れるお姫様の血のせいで、こんなことになってしまっているのだろうか。
「光太郎さん・・・!」
「・・・旦那様を呼んでも無駄ですよ」
その名を聞きたくないと言わんばかりに、赤葦の右手が八重の口を塞いだ。
大声を出そうにも、赤葦の部屋は使用人達が行き来する場所から離れている上、そもそもこの状態で声を張り上げられるわけがない。
「俺の身体は、爪の先から髪の毛一本、精液の一滴まで木兎家のもの」
赤葦は静かに呼吸しながら自分もズボンと褌を下ろし、陰茎を硬くするためにゆっくりと扱き始めた。
「俺がどのような“形”で、“何”を捧げようが、木兎家である限りそれを受け入れる義務が貴方にはある」
その赤葦の声が儚げだったからだろうか。
雫を含みながら男の象徴が形を変えていく様はどこか悲しげで、救いを求めているようにすら見えた。