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【ハイキュー】駒鳥が啼く頃、鐘は鳴る【木兎&赤葦】

第6章 冬霞




「木兎家が持つ財産や特権を奪おうとしている人たちがいる・・・その事実を新年会で実際にこの目で見て、貴方の言葉を思い出したの」


“八重様が嫁ぐ先によっては、木兎家は新しい時代で生き残る力を得られるかもしれない”


「私が若利様のもとへ嫁げば、木兎家は大きな後ろ盾を得ることになる。赤葦、貴方もそう思ったから定子様に進言したのでしょう?」

「・・・・・・・・・・・・」

赤葦は八重から目を逸らし、僅かに唇を噛んだ。
確かに、木兎家と牛島家が親戚関係になることで守られるものは多い。

一方で、失うものもとてつもなく大きい。

それは八重も承知していた。

「私が牛島家に嫁いだら、木兎家の直系の血は途絶えるでしょう。でも、光太郎様が日美子様の私生児であることを知っているのはごくわずか・・・そうよね?」

「はい、この家では私の父と京香、そして闇路の四人だけです。出生届は光臣様自らが嫡子として届け出をなさったので、外でも他に知る者はいません」

「ならば、この事実を私達が墓場まで持っていけばいいだけのこと」

もし“木兎家の血”を残していくことを望むなら、直系でなくとも、同じ祖先を持つ傍系血族を探せばいい。
牛島家さえ許せば、自分の子を光太郎の養子にすることだってできる。


「赤葦・・・貴方はいつも冷たい瞳をしている。いつも何かに怒っているように見える。それはきっと、貴方が一人で木兎家を守ろうとしているからよね」


澱みのない宝石のような瞳で赤葦を見つめる八重。


「でもこれからは、貴方の重荷を私にも背負わせて」


なんと強い女性なのだろう。
なんと潔い女性なのだろう。

やはり似ている・・・

この方と光太郎様は本当に───


「私と赤葦で木兎家を守りましょう。私は家の外から、貴方は家の中で、光太郎さんを守っていきましょう」


その言葉を聞いた瞬間、赤葦はこれまで必死に抑えつけていた感情が、堰を切ったように表面へと溢れ出てきた。









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