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【ハイキュー】駒鳥が啼く頃、鐘は鳴る【木兎&赤葦】

第6章 冬霞




光太郎の稽古に遅くまで付き合った礼として、夕食に招待された黒尾。
しかし、当の光太郎は満腹になると、客人を放り出して寝てしまった。

「木兎らしいっつったら木兎らしいし、相手も俺だったからいいけどさ」

そう言って、わざとらしく口を尖らせてみせる。

「八重ちゃんまでいないのなら、ここに長居をする理由はないよな」

その言葉に、京香の表情が変わった。
それまで穏やかだった海面が一気に泡立つような変化を見て、黒尾の口元が満足そうに歪む。


───ああ、やっぱり京香は赤葦家の女だ。


「八重様のご不在が、貴方に何の不都合があるというの?」

「不都合はないけど・・・そうだな、“監視”ができないかな」


黒尾は左手で京香の腰を抱き寄せ、悲恋を語るような芝居じみた口調で先を続けた。


「かの憐れな姫君が、御家のために犠牲となる姿を・・・俺は見届けなければならないからね」


京香は黒尾に抱かれたまま、窓から見える月の位置を確認した。
この暗さでは時計の針を見ることができないが、月の高さでだいたいの時刻は分かる。

まだ、八重は戻ってきていないはず。


「・・・余計なことをしたら許さない」

「ははは、八重ちゃんがちゃんと木兎と結婚してさえくれれば、ボクは傍観者として見守るだけですよ」

「・・・・・・・・・・・・」

「でも、もしそうでなければ───何をするか分からねぇな」


湾曲した影を落とす、その歪んだ笑みにどれだけの感情を隠しているのだろう。
京香は苦々しげに眉根を寄せると、右腕を伸ばして黒尾の後頭部に手を添える。

そして薄笑いを浮かべている男の顔を自分の方に引き寄せ、冷たい唇にキスをした。






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