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【ハイキュー】駒鳥が啼く頃、鐘は鳴る【木兎&赤葦】

第6章 冬霞




「私は光太郎さんの妻になるために本家に呼ばれた───それでいいのよね?」

「・・・・・・・・・・・・」


“その通りです”

そのたった一言を、京香は口にすることができなかった。

華族の令嬢にとって、結婚相手を自分で決めることができないのは当たり前。
光太郎は自分の境遇を理解しているし、八重だってそれしか道がないと悟れば覚悟を決められるだろう。

でも・・・

二人が結ばれることになったとしても、待ち受けるのはやはり悲劇しかない。
その未来が見えているのは、おそらく赤葦と京香だけだ。


「八重様・・・この件に関しては、京治や私よりも旦那様の口からお聞きになった方が良いかと思います」

今朝早く、赤葦は光太郎に全てを話した。
黒尾が明かしたのは八重が本家に呼ばれた本当の理由だけで、それ以外の全ては赤葦が明かしたこと。
そして、八重は明らかに動揺していたこと。

京香もその場にいたが、光太郎が赤葦を責めることは無かった。
無論、黒尾のことも責めていなかった。
ただ、まだ八重には知られたくなかったな、と呟いてから・・・


“ありがとな、赤葦”と、力なく微笑んでいた。


「光太郎様は八重様のことを、本当に大事に思っていらっしゃいます」


赤葦だってつらかったのだろう。
光太郎の笑顔を見た瞬間、普段は冷静な弟の瞳が暗い色に変わったのを京香は見逃さなかった。
目が充血していたのは、また一人で暗闇の中に囚われていたのかもしれない。

───そばにいてやりたかった・・・


「光太郎様は今日、剣道の稽古には行かれないそうです。八重様とお話するために、早く帰ると仰っていました」

「・・・そう」

光太郎と顔を合わせるのは気が進まないが、いくら広いと言えども一つ屋根の下だ、いつまでも逃げていられないだろう。
むしろ、ちゃんと話してくれるというのだから、自分もしっかりと運命と向き合わなければ。







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