【ハイキュー】駒鳥が啼く頃、鐘は鳴る【木兎&赤葦】
第6章 冬霞
「・・・・・・・・・・・・・」
赤葦は客間の明かりを落とした後も、自分の部屋には戻らずにその場で立ちすくんでいた。
冷え冷えとした空気が、洋服の上から肌を刺す。
光太郎は今頃、何も知らずに夢の中だろう。
・・・それでいい。
この闇を知るのは、自分だけでいい。
「今日のことをお話するのは・・・朝になってからでいいだろう」
光太郎はきっと、承諾を得ずに八重に話してしまった赤葦を咎めはしない。
きっと寂しそうに笑って、“そっか、ありがとな赤葦”と言うだけだ。
本当はそんな笑顔など見たくないのに・・・
「・・・仕方がない・・・俺は梟なのだから」
赤葦は深呼吸とも溜息ともつかない息を吐くと、ゆっくりと歩き出した。
向かう先は、光太郎の部屋でも、京香の部屋でも、自分の部屋でもない。
“東棟の三階”
それは、赤葦だけが知る記憶が眠る部屋───