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【テニプリ】闇菊/番外編【R18】

第1章 【ビターチョコ】菊丸英二/夢主




「捨て猫っていえばさー・・・」


その菊丸くんの言葉に、ピクっと肩が震える。
英二、人の話、聞いてる?、そう呆れ気味に返事をする不二くんには構わずに、菊丸くんが話し続ける。


「オレさ、ちょっと前に捨て猫見つけてさー・・・あいつ、ちゃんとあったかい家、見つかったかなー・・・?」
「・・・英二・・・」


なんとなく、その瞬間、いままでの二人の声のトーンが落ち着いた気がして、ドクンと胸が大きく震えた。
チラリと盗み見た彼の目は、またあの雨の東屋のときのようで・・・
やっぱり胸がざわめいて、菊丸くんから目が離せなくて・・・


「オレさ、持ってたタオル置いてきたんだけど、次の日気になって行ってみたら、段ボールごと無くなってたんだよね・・・」
「・・・きっと、素敵な家族に迎えられたんだと思うよ。」
「・・・ん、そだね・・・だといいな・・・」


菊丸くん、私、あの後、そのまま連れて帰ったんだよ・・・?
ネコ丸って名前をつけて、毎日元気に暴れ回ってるよ・・・?


「・・・そう、残念だけど、また誘うわ・・・ね、小宮山さん?」


執行部員さんの声にハッとして我に返る。
あ、いえ、何でもありません、慌てて前を向くと、失礼します、そう頭を下げる。
生徒会室をあとにしても、まだずっと胸がドキドキして・・・


菊丸くん、ネコ丸のこと、気にかけてくれてるんだ・・・
伝えたい・・・ネコ丸が、今、我が家で元気に暮らしてるって・・・


伝えたいけど・・・でも、どうしたら・・・?


やっぱり、無理だよね・・・
いくら考えてみても、私が連れ帰ったことは内緒にしたまま、ネコ丸のことだけ伝える方法なんて思いつかなくて・・・
仕方が無いよね・・・、そう自分に言い聞かせてため息をついた。

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