第2章 【海水浴!ナンパだホイ!】菊丸英二/夢主
「本当に大丈夫ですよ?、お母さん、英二くんのこと、ちゃんと信用してますから。」
本当に気にして欲しくなくてかけた私の言葉に、・・・じゃあ、不二と比べたら?、そう英二くんはジトーっと疑いの視線を向けてくる。
不二くんと比べたら・・・?
普段、2人の話をするお母さんの様子を思い出す・・・
英二くんに対するお母さんの態度と、不二くんに対するお母さんの態度・・・
客観的に見て・・・
それは・・・多分、不二くんですけど・・・、そう気まずく思いながら視線を泳がせると、そこは嘘でもオレって言うところだろー!、なんて言って英二くんは頭を抱える。
「す、すみません!、つい、本当のことを・・・ああっ!」
私の余計な一言で、英二くんはさらに重い空気を背負ってしまい、慌てて口を塞いで彼の顔をのぞき込む。
「・・・花火!!」
落ち込んで頭を抱えている・・・と思っていた英二くんが突然顔を上げて大声をあげるから、驚いて目をパチクリさせてしまう。
花火・・・って、花火?
クンクンと鼻を鳴らしながら辺りを見回す英二くん・・・
言われてみると、どこからともなく漂ってくる火薬の香り・・・
潮の香りに負けないくらい自己主張してくるそれに、不思議に思って辺りを見回すと、遠くで花火を楽しむ家族連れ・・・
「あ、そうだ!、小宮山、ちょっと待ってて!」
目をキラキラと輝かせて、それから荷物をガザガサと漁り出す英二くんに、どうしたんだろう?、そう不思議に思って眺める。
ジャジャーン!と満面の笑みで振り返った彼の手には、懐かしい花火セット・・・
「そんなものまで、持ってきてたんですか・・・?」
「うんにゃー、この前、桃たちとやった残り、入れっぱだった!」
さっきまでの落ち込む様子はもう微塵も感じられなくて、でもそんなところが英二くんらしくて、せっせとセッティングをする彼を目を細めて眺めた。