第2章 【海水浴!ナンパだホイ!】菊丸英二/夢主
他の男が小宮山を見るのが嫌で、小宮山をあんな小さなパラソルの中に閉じ込めたくせに、オレはまた調子に乗って好き勝手して・・・
小宮山、そりゃ、傷ついたよな・・・
しばらく波打ち際で水平線を眺めていた小宮山が、徐ろに海へと足を踏み入れる。
小宮山・・・?
小宮山が海に入るとは思ってなくて、だからどんどんと入水していくその様子に、余程のことなんじゃないかってドキドキして・・・
まさか・・・いや、小宮山に限って、こんくらいで・・・
でも、もしかしたら、あの小宮山が水着にまでなったのに、オレがほかの女にって、相当、思いつめて・・・
頭をよぎった嫌な考え・・・
そんなはずない、そう自分に言い聞かせるも、どんどん深いところまで進んでいく小宮山に、まさか本当に・・・?、なんて不安になる・・・
その瞬間、小宮山が波の中に消えた。
小宮山!!、そう声を張り上げ、バシャバシャと水を掻き分けた。
どこだよ?、なんで浮いてこないんだよ、そう辺りを見回して消えた小宮山を必死に探すけど、なかなか小宮山の姿を見つけることは出来なくて、不安だけが大きくなっていく。
頭をよぎった嫌な考えは、やっぱり、オレの考えすぎだったと思う。
さっきのは、どう見てもバランスを崩して波にさらわれたって感じだった。
そうなんだ、小宮山は普段、あんなにしっかりしてるくせに、時々、信じらんないくらいドジなところがあって・・・
そのギャップが堪らないんだけど、こんな時にそれは、ちっとも笑えなくて・・・
「小宮山!、小宮山!!」
肺に思いっきり空気を送り込み、何度も水中に潜り小宮山を探す。
はっきりしない視界の先・・・
チラッと見えた、小宮山に着せたオレの赤いラッシュガード・・・
見つけた!!
精一杯、小宮山に向かって手を伸ばすと、しっかりと捕まえ抱きしめる。
良かった、ちゃんと助けることが出来て・・・
背中に回された小宮山の腕の感触に、そう心から安堵した。