第2章 【海水浴!ナンパだホイ!】菊丸英二/夢主
波打ち際を人気のない方へ歩いていく。
気持ちいい・・・
初めての海水浴・・・波に足をつけるのも初めて・・・
本当は英二くんと一緒に歩きたかった・・・
溢れる涙を何度も拭う。
英二くんに羽織らされたラッシュガードの襟元を手にすると、そっと頬ずりする。
なんで、私、あんなこと言っちゃったんだろう・・・
「・・・本当に、頭、冷やそう。」
ゆっくりと海に向かって足を向ける。
頭を冷やすって言ったって、本当に泳ぐつもりは無いけれど、もうちょっと・・・英二くんのラッシュガードが濡れないくらいまでは入ってみようかなって・・・
冷たい・・・でも、慣れると平気・・・
そういうところは、学校のプールと同じ・・・
そう、私は学校のプールでしか泳いだことがなくて・・・
海に入ったことは、本当に初めてのことで・・・
だから、急に高い波が来ることなんて、予想もしてなくて・・・
ザブン!、一際大きな音にハッとする。
バランスを崩したところを引き潮に足を取られて、あっという間に身体を飲み込まれる。
勢いよく波に揺さぶられてるうちに、もう上下の感覚も分からなくなっていて・・・
こ、怖い・・・!!
必死にもがいて空を目指す。
恐怖で目も開けれなくて、水の中じゃ当然息も吸えなくて、ただ手足をばたつかせるしか出来なくて・・・
た、助けて!、英二くん・・・!!
無意識のうちに助けを求めた愛しい人・・・
私って、本当に何かあると、安易に英二くんに助けを求めて・・・
でもその度に、英二くんはちゃんと助けに来てくれて・・・
そう、さっきだって、英二くん、助けに来てくれたのに・・・
なのに私、あんな態度とって・・・
「・・・小宮山!」
聞こえるはずがないのに、英二くんの呼ぶ声が聞こえた気がした。
恐る恐る目を開けると、私に伸ばされた手に青いリングが見えた。
必死に私も腕を伸ばす。
グイッと引き寄せられ、その胸の中に閉じ込められる。
視界に飛び込んできたゴールドのスイカ・・・
英二くんが胸に下げていたネックレス・・・
ほらね・・・
英二くんは、ちゃんと、私を助けに来てくれるの・・・