第2章 【海水浴!ナンパだホイ!】菊丸英二/夢主
「英二くん、どうして・・・?、私にはここから出ないでっていった癖に・・・」
膝を抱えてため息をつくと、シートの上に零れ落ちた足元の白い砂を眺めた。
英二くん、私の水着姿、気に入らなかったのかな・・・?
着替えを済ませて、初めて英二くんに水着を見せたとき、英二くんは私に自分のラッシュガードを羽織らせた。
絶対脱いじゃダメって念まで押して・・・
英二くんに喜んでもらいたかったのに、やっぱり似合ってないからだよね・・・
せっかく美沙に付き合ってもらったのに、やっぱり最初に言われた通り、もっと際どい水着にすれば良かったのかな・・・
あの女の人たちも、かなり色っぽい水着だもんね・・・
荷物から本を取り出して、挟んだしおりの先に集中しようするけれど、ぜんぜんその先なんて頭に入ってこなくて・・・
なによ、せっかくの夏休みなのに、部屋の中で本ばかり読んでるって文句言ってたくせに、結局、英二くん、私を放っておくんじゃない・・・
滲む涙を慌ててグイッと手の甲で拭う。
ダメ、泣いたら英二くんが戻ってきたときに、気にしちゃうもん・・・
本当にバカみたいだけど、こんなときですら私は英二くんが嫌な気持ちにならないように、必死に自分の気持ちを押し殺して・・・
そんな必要なんてもうないのに、どうしても英二くんには気を遣ってしまって・・・
その瞬間、向こうから走ってくる英二くんが見えた。
ど、どうしようって、キョロキョロとあたりを見回しながら挙動不審になって、それから慌てて横になると目を閉じて寝た振りをした。
だって、今、英二くんと顔を合わせたら、なんて声をかけていいか分からないし、絶対、目の前で泣いちゃうもん・・・
・・・そう思って咄嗟にとった寝たフリの行動で、余計に悲しくなるなんて・・・
私がちゃんと笑顔で出迎えていたら、英二くん、あの女の人たちのところになんか戻らないで、私といてくれたかもしれないのに・・・