第2章 【海水浴!ナンパだホイ!】菊丸英二/夢主
「小宮山、ちょーっち待っててね。すぐ戻ってくるからさ・・・」
目を閉じる私の頬に、英二くんの唇がふわりと寄せられる。
うっすらと目を開けて確認すると、私に気をつかってそーっとクーラーボックスを持ち出しまた出かけていく・・・
すぐ近くで漂った香水の匂い・・・
潮の香りに紛れていても、はっきりと鼻に残る・・・
ゆっくりと身体を起こすと、クーラーボックスを抱えた英二くんの背中が涙で滲む。
こんなことなら、寝た振りなんかしなきゃ良かった・・・
ドリンクを買いに行くと言う英二くんに、私も一緒にって言ったら断られて・・・
仕方が無いから、ボーッと海を眺めながら待っていたけれど、いつまで経っても英二くんは戻ってこなくて・・・
何かあったのかな・・・?、そう心配になって探しに出た白い砂浜・・・
凄い人混みだったけど、英二くんを見つけることが特技の私にとって、彼を見つけだすのはそう難しいことではなくて・・・
見つけた瞬間、慌ててすぐそばのビーチテントの影に身を隠した。
だって英二くん、少し年上の女の人たちの身体を、嬉しそうに撫で回していたから・・・
バクバクと心臓がうるさくなった。
どうして・・・?、そう身動き取れずに眺め続けると、どうやら日焼け止めクリームを塗ってあげているのは分かったけれど、でも背中だけじゃなくて、お腹や胸のあたりとか、それから太ももの内側まで、必要以上に塗ってあげていて・・・
英二くんの嬉しそうな顔と、卑猥な会話・・・
こんなの、もう、耐えられない・・・!
「別にいいよん・・・あー、これって、間接キス?」
そのまま急いで帰ろうとすると、今度はそんな英二くんのセリフにビクッと肩を震わせた。
もう耐えられないはずなのに身体が動かなくて・・・
ビーチボールを膨らませ終わると、その人たちに誘われるまま、英二くんは楽しそうに遊び始めた。