第2章 【海水浴!ナンパだホイ!】菊丸英二/夢主
「おおー、海ー!!」
電車からホームに降り立つと、目の前に広がる水平線。
途端に興奮して声を張り上げる英二くんを、微笑ましく眺める。
後日、入念に準備をしてから、気合を入れてやってきた海水浴。
美沙と水着を買いに行ったり、ネットで海水浴の情報を集めたり、お母さんに許しをもらったり・・・
本当にバタバタして忙しかったけど、なんとかここまでやって来れた・・・
「・・・風が気持ちいいですね・・・」
髪を揺らす海風、潮の香りと水面を揺らす太陽、波の音とカモメの鳴き声、それにビーチに並ぶ色とりどりのパラソルと海の家・・・
その雰囲気に、英二くんじゃないけれど、気持ちがソワソワしてしまう。
「小宮山、はやく行こ!」
「は、はい!」
英二くんに手を引かれながら、今日は日焼けなんて気にしないで、いっぱい楽しもう、そう珍しく前向きな気持ちで頷いた。
海の家でビーチパラソルを借りると、適当な場所にレジャーシートを広げる。
シートの上に荷物を置くと、ドサッと英二くんの荷物が異様な重量を感じさせて、えっと・・・?、そう疑問に思う。
「・・・英二くん、すごい荷物ですね。一体何をそんなに持ってきたんですか?」
「んっとねー、浮き輪だろー、ビーチボールだろー、お菓子に・・・あとはー・・・スイカ!」
スイカ!?、クーラーボックスからドーンと満面の笑みで英二くんが取り出したのは、本当に大きなスイカで・・・
なぜ?、そう理解出来なくてマジマジとそれを見る私に、だって、海と言ったらアレじゃん?、スイカ割り!、そう英二くんは得意げに笑う。
スイカ割り・・・って、本当にやる人いるの・・・?
しかもグループでワイワイやるならまだしも、ふたりきりなのに・・・?
そんな私の戸惑いに、またー、小宮山はそんなこと言って!、そう英二くんは頬を膨らませる。
そんな英二くんが可愛くて、まぁ、いいか、なんてその笑顔を目を細めてみていた。