第2章 【海水浴!ナンパだホイ!】菊丸英二/夢主
「でも流石に今からはダメですよ?、準備だってしないといけないですし・・・」
やっりー!、そう大喜びしている英二くんを宥める。
そんな私の言葉に、ええー、なんてまた英二くんは不満な顔をする。
「ええー・・・と言われましても、今から行ったら、着くの夕方になっちゃいますよ・・・?」
私、海水浴って行ったことないけれど、多分、夕方から行くところじゃないよね・・・?
きっと前の日までにしっかり準備して、朝早く出発するんだよね・・・?
「はにゃー、そうだよにゃ、どうせならいっぱい遊びたいし・・・あー、小宮山の水着、すんげー楽しみ!」
水着・・・!?
英二くんのその言葉に、サーッと顔から血の気が引いていく。
いや、考えれば当たり前なんだけど、海に行ったら水着になるのなんて、本当に当たり前なんだけど、何故かすっかり頭から抜け落ちていて・・・
どうしよう・・・水着なんてやっぱり恥ずかしい・・・
だけど、こんなに英二くんが大喜びしているんだもん・・・
もう今更、水着は恥ずかしいからやっぱりイヤ、なんて、とても言える雰囲気じゃなくて・・・
言えたとしても、どうせ聞き入れてなんてもらえなくて・・・
「そうだ!、小宮山、水着、着てみせてよ?」
「え?、い、今ですか・・・?」
「あ!、やっぱいいや!、お楽しみは当日までとっときたいもんにゃ?」
どんなかなー?、そう私を抱きしめながら、ウキウキと期待をふくらませている英二くんに、これはもう、本当に覚悟を決めるしかなくて・・・
そしてもうひとつ、肝心なことを彼に言っておかなければならなくて・・・
「いいですけど・・・もう、それまで『しるし』は、絶対、付けないでくださいね?、水着になれませんから。」
まさに今、どさくさに紛れて私の首筋に吸い付こうとしていた英二くんに釘を刺す。
ええー?、そう彼はものすごく不満げな声を上げて頬をふくらませた。