第2章 【海水浴!ナンパだホイ!】菊丸英二/夢主
「小宮山ー、海、行こー、海!、今からっ!!」
夏休み、いつものように私の部屋でまったりと過ごす昼下がり・・・
さっきまで携帯を眺めていたはずの英二くんが、突然、そんなことを言い出したから、驚いて手元の本を落としそうになる。
海・・・って、あの海よね・・・?
今からって・・・もうお昼ご飯もとっくに食べ終わった今から・・・?
「あの、申し訳ありませんが、もう一度言っていただけますか・・・?」
まさかね、聞き間違いだろう、そう思って問いかけると、だーかーらー、うぅーみぃー、そう英二くんは頬をふくらませて繰り返すから、間違いでも冗談でもないんだ、そう内心頭を抱える。
私の彼は気まぐれで・・・
本当にいつも思いつきで行動するから、振り回されてばかりで・・・
「夏と言えば、海ー!、白い砂浜で小宮山とビーチバレーして、シャリシャリかき氷食べて、それから、それから・・・」
ため息をつく私には構わずに、キラキラと目を輝かせながら、すっかり真夏のビーチに思いを馳せている英二くんに、もうため息しか出なくて・・・
「不二くんや大石くんと一緒にいくのはどうですか?、申し訳ありませんが、私、日焼けしたくありませんので・・・」
「オレは小宮山と行きたいの!、若い時はあっという間なんだかんな!、すぐにおっぱい垂れ下がって、下っ腹だってぼよーんと出てきて、水着なんか着たくても着らんなくなるんだぞ!?」
若い今しか行けないじゃん!、そう身振り手振りまでつかって頬を膨らませる英二くんに、随分、失礼なことを言われているんだけど、私と行きたい、そう言われると悪い気はしなくて・・・
好きになった方が負け、惚れた弱み、とはよく言ったもので、英二くんのオネガイは、相変わらず私にとって絶対で・・・
仕方が無いですね、そう、苦笑いでそのオネガイを承諾した。