第3章 下
「俺は臆病者だから…、君をつなぎとめておける自信がなかったから、だから足かせなんかを付けて、君を閉じ込めてしまった。そうしておけば、君は俺の側から逃げることができないと思ったんだ…。
でも、それでも俺は怖かった。いつかがいなくなってしまうのではないかと、毎日毎日不安でたまらなかった。
仕事から帰った時、朝起きた時、がいてくれることを確認するその瞬間…俺がどれだけほっとしていたことか。
でも…初めは、の居場所を全て奪ってしまえば、どこにも行くあてのない君は仕方なくでも俺のところに留まってくれるんじゃないかと思っていた。だけど…」
言いよどんだカラ松に、私は言った。
「言ってください、あなたの気持ちを。私に教えてください」
視線が絡み合って、カラ松がゴクリと唾を飲み込むのが分かった。
「と暮らして、君のことを知って…君はとても意志の強い女性だということを知った。しっかりと自分というものを持っていて、その行動にはいつも信念があった。
君自身は、自分の事をあまり評価していないみたいだけれど…、君はしっかりと自分の両足で立って歩いていける、自立した強い女性だ。
…だから、そんな君は「仕方がないからここにいよう」なんて思わないかもしれない、そう思ったんだ。
君がはっきりと俺に嫌悪感を示してあの家を出て行ってしまった時、が行き場もなく途方に暮れてしまうのだけは、絶対に嫌だった。
俺はのことが大好きだから、辛い思いなんかして欲しくなかったんだ」
「そんな・・・辛い思いをさせたくないなんて、監禁しておいてそれを言いますか?」
「その通りだ。何もかも、俺が間違っていた」
「そうですよ。頭おかしいですよ」
「そうだ。俺は頭がおかしい。本当に申し訳ないことをしてしまった」