• テキストサイズ

【おそ松さん】カラ松弁護士は手段を選ばない

第3章  下


「好きだからだ」

「だから、何で」

 ますますいつもの口調に戻ってきているぞ、いちまぁ~つ。
 いくら旧知の仲の俺だからと言っても、犯罪者相手にそんなにすぐに気を許してはダメだぁ。
 だからつい、俺だって普段の口調に戻ってしまうじゃないか。

「っふ~ん。君は猫が好きだろう?」

 ピクリと一松の眉が上がる。

「何故好きなんだ?」

「な、何故って…そんなの…可愛いだろ、アイツ等」

 一松は頬を掻きながらボソボソと答えた。その仕草が照れ隠しだっていうことも知っている。
 俺はゲイではないが、お前のことは本当に可愛いキティだと思っているんだ。その不器用さは、同性に好感を抱かせる。お前という男は、つい応援してやりたくなってしまうような奴なんだ。

「そう!可愛い!ただ可愛いから、好き。それだけのことだ。相手を好きなことに、理由や条件なんて必要ないだろう。それとも一松は、猫に何か見返りを求めているのか?」

「そんなもん無いわ。ただ可愛い、それだけで十分だろ」

「俺も同じだ。俺は彼女が好きなんだ。それを合理的に説明なんてできない。ただ、この身が燃え上がるように好きなんだ!そう、まさにディスティニー!」

 勢いづいて立ち上がり、ついいつもの癖でミュージカル風に叫んでしまった。

「・・・最後のがなければ格好良かったのにな。色ボケ犯罪者松」

「ノー!辛辣すぎるぜ一松!」

 一体このバカをどうしたものか、と考えあぐねているのがありありと分かる表情をして、一松はその薄めの眉を少し下げてから、もう一度大きなため息を吐いた。

/ 53ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp