第2章 中
カラ松の腕にじゃれつきながら、玄関へと向かう。一緒になって遊んでくれるカラ松はまるで甘えん坊の虎みたいで、とても可愛い。
でも、玄関のシューズクロークに備え付けられている姿見の鏡に映る自分の姿が視界に入った時、いささか地味すぎるかなと思った。
「ちょっとだけ待っててもらえますか?」
絡めていた腕を解いて、私は寝室へとかけ戻った。
ちなみに、どーでもいいことなのだが、私たちのお戯れエピソードを一つ話したい。
カラ松は何をしても怒らないので、すっかり打ち解けた私は、隙あらばカラ松の肛門に指を突き立てることにハマっていた。いわゆる、小学生男子の伝家の宝刀「カンチョウ」である。
以来、タンスの下の段を覗き込んで探し物をしている時とか、階段を登っている後ろからとか、ソファで猫のように丸くなって眠っている時なんかに、ブスリと見舞う。
そうすると彼は、
「あぁぅっ!」
と、妙に色っぽい声を上げるものだから、それを聞くのが癖になってやめられない。意外と自分にはSっ気があったのだな、と新たな発見をしたものである。本当にこの家に来てからの私は、自分自身について新たな発見をしてばかりだ。まぁ、気づかなくても良かったようなものも多いのだが。
「ん~?その服は・・・」
戻ってきた私のチェックシャツの胸元からチラリとのぞいているのは、ギラギラと青く輝くクソタンクトップだった。
「このくらいのチラ見せだったら、いいかなって思ったので」
「似合ってるぜ!」
満面の笑みで、グッと親指を立てられる。ちょっと複雑な気分だけど、カラ松が嬉しそうだから、これでいいのだ。