第2章 中
カラ松の私に対する束縛は、日を追うごとに少しずつ緩和されていった。
当初は足かせをはめられて家の中ですら行動を制限されていたが、ひょんなことから足かせが外されて、その時の出来事をきっかけに、トントン拍子に状況が変わっていった。
まず、もう足かせをつけられることはなくなった。行くことを禁止されていたベランダにも出られるようになったし、カラ松の付き添いがあれば外に遊びに行くことだってできるようになった。
そして今日また、次のステージへと移行するらしい。
「俺の事務所に遊びに来てみるかい?」
朝、いつものように幸せそうな顔をして朝食を頬張っていたカラ松が、まるでデートに誘うようにして言った。
「えっ?カラ松さんの弁護士事務所に、ですか?」
今度はコーヒーカップに口を付けながら、こくん、とその顔が上下に揺れる。
「お仕事の邪魔になるのでは・・・?」
「今日は外出の予定は入っていないんだ。一日中事務作業をする予定でいるから、遊びに来るといい。早めに仕事を切り上げて、焼肉でも食べに行こう。この間テレビで特集をしていたお店に行きたいと言っていただろう?」
「やったぁ!」
私は両手を上げて、バンザイをした。この家に来てカラ松と暮らす様になってから、私は明るくなった。
自由の身だった頃よりも、誘拐・監禁をされてからの方が生き生きとしているなんて、私には秘められし変態の素質があったのかもしれない。だが、そんな風に変わってしまうほど、カラ松との生活は楽しく心が安らぐものだったのだ。