第7章 HATE YOU
『な、に…んっ』
及川が春華の唇を唇で塞ぐ。
もちろんその姿は、澤村だけではなく
烏野、青葉城西、そして及川ファンに見られてしまった。
叫び声が響く中、
一瞬何をされているのか、春華は理解できずに固まっていたが、
目の前に伏せられたままの長い睫毛
重ねられた薄い唇。
理解の追いついた春華は手を振り上げて、
ばちん!と大きな音を立て
及川の頬に平手を打った。
赤くなった頬を背けたまま、及川は笑う。
「痛ったー…
ちょっと、暴力反対」
『最低……あんたなんか、大っ嫌い!!!』
春華は、心配して駆け寄ってきた澤村の胸の中に飛び込んだ。
澤村は、何も言わずに泣きじゃくる春華の頭を撫でた。
そこからのことはよく、覚えていない。
結局、烏野のバスで皆さんと一緒に帰って、大地先輩が家まで送ってくれた。
部屋に帰って、カバンを開けると、渡せなかった…2本だけ減ったチョコレバーが出てきた。