第1章 カタオモイ
月島くんのチョコだけは持ち帰ってきた。
だから、いつもより早起きして学校に行ってみた。
運が良ければ、朝机にチョコ入れておけるかな、なんて。
「池田さん、おはよう。なにかあった?」
「4組のいいんちょ…おはよっ!なんでもない!」
でも、上手くはいかなかった。
4組のクラス委員長は、さすが進学クラスとでも言うべきか、一番に来て教室の掃除をしていたようだった。
それからも、当然渡すタイミング何てなくて部活になってしまった。
その部活だってあっという間だった。
「よーし、そこまで!」
「オスッ!」
コーチのもとにみんなが集まる。
「頑張ってるお前らに、マネージャーからプレゼントだ。とりあえずここで締めるから、帰りに受けとれよー。」
挨拶や片付けを済ませてから、潔子先輩とチョコレートを配り始めた。
潔子先輩は、月島を避けるように配っていく。
もちろん、私も。
コーチ、日向くん、影山くん、縁下先輩、旭先輩………山口くんと、最後に月島くん。
だけど、私も潔子先輩も袋は空っぽ
「ご、ごめん、月島くんのぶん、なくなっちゃった。一個忘れてたみたい…」
「は?まぁいいけど。」
「ごめんっ」
私はその言葉を残して体育館を出ていった。
いいけど、といっていた月島くんの最後に見た顔は眉間にシワを寄せてちょっと怒っていた気がした。