第1章 カタオモイ
更衣室で、やっちゃったー…なんて思いながら月島くんのために作ったチョコレートを見つめた。
なんて、バカなんだろう。
着替えもせずに、泣きそうになっていると、
着替え終わった潔子先輩が近づいてきた。
そして、私の肩をぽんっと叩くと
「ガンバレ」
そういって帰っていった。
負けるな、私。
励まされて、やる気が出てバカみたいなのに楽しいや。
ささっと着替えを済ませてダッシュで学校を出る。
坂を下れば、月島くんと山口くんの姿。
山口君がいるけど、構うもんか。
「月島くんッ!」
近所迷惑?と思いながらも、大きな声で呼ぶと、振り向いて止まってくれた。
目の前に立ちとりあえず息を整える。
「なに?」
眉間にシワを寄せる月島くん。
さっきのこと、怒ってる…?
「私、嘘ついた。ごめんなさい。」
謝罪と一緒に差し出すチョコは、みんなとラッピングもサイズも違う、特別なチョコレート。
目の前には眉間のシワをさらに深くして驚く月島くん。
長くいる訳じゃないのに、表情を感じ取れるくらい、好きになったんだ。私。