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【FF7 ヴィンセント BL】神の食べ物

第1章 1


自分でさえ目を逸らしたくなる、底の無い欲望を、世間擦れしているようで真っ直ぐなこの少年に、伝えられる訳が無い。
知ったらリオはどんな顔をするだろうか。
「私はリオにしか興味は無い。それに、貰ったチョコレートはリオの方が多いくらいではないか?」
「うーん…識ってるけどね、あなたが一途なの」
ヴィンセントの腕の中で振り向いて、
「今日は、あなたを好きなのも僕だけでいいのにって思う」
欲深さを羞じるように切なげに、それでいて臆することなくその望みを口にする。眩しいような熱が伝播する。恐れを手離しても良いような気がしてくる。
「リオ、…愛している」
結論的に紡がれた言葉は、リオを恥らわせた。
「そ、それにね、なんていうか…ヴィンセントのモテ方と、僕のモテ方って、違うんだよね〜」
話し続けようとするリオの頬は紅い。
「ヴィンセントって、大人の男の魅力〜、なんだよね、…で、僕は、なんていうの? 男っていうより、愛玩動物? 可愛いがられてる、的な? いいけどさ〜…、」
「可愛いがっていいのは私だけだ…」
「え、」
思わず、口を挟んでしまった。
リオは唇を半開きに、盛大に照れてしまった。
"そういう意味"で可愛がるのはいつものことなのだが、不意を突かれると羞恥心が勝るらしい。そういうところで初心なのだ。
それこそ、ヴィンセントは男の狩猟本能が擡げてくるのを感じた。
無防備な唇に自分のそれを押し当て、あ、と漏らされた呼気と一緒くたに唇を優しく噛んだ。
「んっ……」
与えられた刺激に耐えようとする理性と、更なる刺激を望む本能のあいだで逡巡しているのがわかる。
ぎゅっと閉じた瞼と、僅かに顰めた眉、上気した頬。悩ましい表情が、愛おしい。
僅かの後、ヴィンセントは唇を静かに離し、微笑んだ。
ゆっくり瞼を上げ銀色の睛を見せたリオも、安堵したように笑う。
「あー…チョコ食べる?」
「ああ……そうだな。コーヒーを淹れよう」

テーブルのチョコレートをベッドのチョコレートに合流させ、空いたテーブルに、二つのカップに入ったコーヒーが置かれた。
砂糖とミルクは無しだ。
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