【YOI・男主×ユーリ】扉の向こうとこちらのエロス
第2章 Tokyo's Night
『未成年なのもそうやけど…礼之くんは、自分が日本を代表するアスリートの自覚はあるんか?もしも君が僕の弟やったら、今すぐ首根っこ掴んで連れ戻してる所や』
己の軽率さは勿論の事、ロシアでは成人年齢に達しているユーリに対しても、「年上の君が諭さんでどないすんねんな」と純は厳しく咎めてきた。
しかし、礼之達の変わらぬ気持ちと、今の時間帯に外へ出る事への影響を懸念した結果、渋々だが口裏を合わせてくれる事になり、更に世話の焼ける『弟達』に「何か困った事があったら、いつでも僕の所へ連絡してきなさい」とも言ってくれたのだ。
「何だかんだ言って、『サユリ』は甘いんだよな。でも、俺はそんなサユリが大好きなんだ」
現役時代から今でもスケオタの間で純の代名詞とも呼ばれているプログラム名から、ユーリは純の事を『サユリ』と呼んで、兄のように慕っている。
礼之も、厳しくも優しい純にはこれまで随分世話になってきているし、今回のワールドも彼のお蔭で自分を見失わずに済んだのだ。
後日きちんと今夜の礼と詫びをしようと心に決めると、礼之はバスタブから上がった。
メインのバスルームから礼之が出てくると、ベッドサイドの間接照明とTVの光源を残して、部屋一帯が薄闇に包まれていた。
キングサイズのベッドの片側に身を潜り込ませながら日本のTV番組を観ていたユーリと目が合うと、すこしだけ緊張しながら近付く。
「そういえばユリは、日本語判るんだっけ」
今シーズンのGPS中、とある日本の番組でインタビューを受けていたユーリが、日本語で簡単な挨拶をしていたのを思い出すと、礼之は質問する。
「『少しダケ。コノ間、ナントカN4合格した』」
「凄いじゃない!おめでとう!」
「…『アリガトウ。でも本当ニ、ギリギリだった』」
律儀に日本語で返してくるユーリに、礼之は素直に祝福の言葉をかけた。
「礼之はずっとフィンランドにいたのに、日本語問題ないんだな」
「エスポーでも両親との会話は日本語だったし、東京には小さい頃から行き来してたしね。でも、当時はちょっと発音がブロークンで、それを日本の従兄弟にからかわれてムカついたから、エスポーの語学学校で猛勉強したんだ」
「ははっ、お前らしいな」